コロナで入院しているはずのエンジニアが歌舞伎町でホストをやっていた話

kabukicyou システム開発

前回のエントリで少し触れた、ジョインして1週間程度経過した後、「コロナにかかってしまい、数週間入院することになりました。」と言い残して休みに入ってしまうが、コロナは嘘っぱちで歌舞伎町でホストとして働いていたエンジニアの話。

ちなみに、前回のエントリは、こちらです。

【システム開発】タチの悪いエージェントの地雷を踏んだ時、被害を最小限に抑える方法を考えてみた

こちらでは、経歴詐称疑惑のあるエンジニアと、経歴詐称の疑いがあるほどにアウトプットの質が悪いエンジニアがジョインした時の対策(主に金銭面において)にスポットを当てましたが、今回は、歌舞伎町に消えたエンジニアにスポットを当てた話です。

ちなみに、このプロジェクトに入る前からホストとして働く事が確定していたという証拠まで見つける事ができました。

どうやって、そんな強烈な証拠握ったんじゃいという突っ込みが聞こえてきそうなので、どういう経緯でそうなったかを書いていきたいと思います。

カオス化していたフロントエンドの再編成メンバー

何でカオス化したのかの経緯は前回のエントリに書いたので詳細は割愛しますが、フロントエンドの開発を、フロントエンドの開発経験が豊富(自称)の会社に依頼したものの、全く成果が上がらず、何度軌道修正してもプロジェクトの進捗を上げる方向に進んでくれない上に勤務態度も悪いという、非常に大きな問題を抱えていました。

プロダクトオーナー(クライアント)と相談して「この開発会社やべーっす!早急にチームを再編成しましょう!」と提案したところ、プロダクトオーナーも同じ意見だったため、チーム再編成という事でフロントエンドエンジニアの募集および面談も担当することになり、何人か良さそうなエンジニアを、エージェント経由でフリーランスエンジニアを紹介してもらう事になりました。

そのうちの一人が、後で歌舞伎町に消える事になったエンジニアでした。

経歴は申し分なく、面談時の受け答えも問題なし、技術的な質問にも自分なりの答えを持っていて、プロジェクトで成果を出してくれそうな実力を持っていそうな方でした。

また、「職務経歴書の他に、GitHubアカウントや技術ブログとかあったら教えて頂けないでしょうか?」とお願いすると、GitHubアカウントと技術ブログを教えてもらいました。
技術ブログには、X(旧Twitter。以下 Twitter と表記します)へのリンクがあったので、そちらも選考のための材料にさせてもらいました。
GitHub にアップしている内容も申し分なく、技術ブログについても自身で苦労して調べた内容を言語化してアウトプットしている事が感じ取れる内容で、とても誠実なものでした。

ただ、彼の Twitterは、エンジニアのアカウントとしては少し異質でした。

プロフ画像がホストのような風貌をしており、「初撮影です」というメッセージと共に投稿された彼の写真は、まるでホストクラブのスタッフリストとして使われてもおかしくなさそうなクオリティでした。(伏線)

エンジニアの Twitterアカウントは、技術的な事やIT業界についての事を書いていたり、アニメや漫画といったサブカル系の趣味やデバイスやハードウェアのことを書く人が多い印象があるので、かなりのインパクトがあった事を覚えています。

「機密情報をSNSでばら撒いたり、クライアントや職場の毒を撒き散らすようなヤベー奴じゃないか」と言う事をチェックするために SNSの投稿内容はある程度まで遡って見ることは多いのですが、たまーに技術的な事を呟いてはいるものの、明らかにホストのような投稿が多数を占めていました。

こうやって SNSに投稿しているという事は、恐らく彼にとっては隠すような事じゃないんだろうなと思ったし、こういう姿を人に見られる事には何も抵抗が無いと判断したので、彼がジョインする時も、

「明日から、Tさんというホスト系のイケメンフロントエンジニアがジョインします。
チームメンバーを紹介したいので、明日のデイリーミーティングは、カメラを ONでお願いします。」

とチームチャットにて連絡していました。

ホスト系イケメンエンジニアの勤務態度

珍しいタイプのエンジニアでしたが、プロジェクトに参画してから成果を出してくれるまで、それほど時間はかかりませんでした。
現在抱えている問題や、直近で解決して欲しい課題を説明したところ、正確にその内容を理解し、期待するアウトプットを出してくれました。

「おお!ようやくマトモなエンジニアが入ってくれたぞ!」とテンションが上がっていたのですが、途中から遅刻が目立つようになりました。

このプロジェクトでは、毎朝 10時にデイリーミーティングをしていたのですが、デイリーミーティングに参加して来なかった時に呼び出しをしても反応が無く、ようやく反応があったのは 13:30 と、なかなか豪快な時間に連絡が来たりしました。(ここまで大幅に返信が遅れたのは1度だけですが)

その後も徐々に遅刻が目立ち始めたものの、このプロジェクトには、参加して初日から3日連続で遅刻してきた人とか居たので、プロダクトオーナー(クライアント)共々、「遅れてきた事への謝罪の言葉がちゃんとありましたね」と、ほぼお咎め無しの状態となっていたので、だいぶ感覚が麻痺していたと思います。
遅刻してきた時、『歌舞伎町から戻ってきたみたいです』と、プロダクトオーナーにネタトークをしていましたが、特に苦情は入れていなかったようです。

ただ、デイリーミーティングに遅刻しておきながら、Twitter を見ると「◯◯で洋服を購入しました!」という投稿があったので、ちょっと警戒レベルを上げていました。

突然の退場

そんな感じで、勤務態度は微妙だが、やることはやってくれていたので、とりあえずそのままプロジェクトを進める事にしていました。
(開発スピードは遅い方だったのですが、プロジェクトを進めていくうちに徐々に上がっていくだろうと楽観視していた点はありますが)

すると、彼がジョインして1週間と少し経過した頃に、プロダクトオーナー(クライアント)から、

「とても残念なお知らせです。。。
お祓いに行こうかと思います」

というメッセージと共に、こんなメッセージが届いた事を連絡してくれました。

「すみません。コロナにかかってしまい数週間入院することすることなりました。数週間ほどお休みをいただきたいです。
せっかく御社で頑張れる機会をいただけたのに本当に申し訳ありません。」

もう、ムンクの叫びのアイコンを連続して並べるぐらいの反応しかできず、その後

『お・・・おーぷんちゃっとにてメンバーへの連絡をお願いします・・・』

と返信をしておきました。

ただ、勤務態度に少し問題があったという点と、遅刻しておきながら時々 Twitterの更新はされていたという点から、コロナでの入院を 100%信じていたというわけではなかったので、彼はもう戻ってこないという前提で計画を練り直す事にしました。

(無言リツイートのみで、「病院のベッドからツイートしている」という言い訳は成り立つレベルだったので、大げさに事を荒立てる事はしませんでした。)

本当にホストとして働いていたイケメンエンジニア

ある日、バックエンドエンジニアのSさんから夏季休暇の相談があり、
『バックエンドは順調なので、PM側としては全然休んでもらっていいですよ。Kさん(プロダクトオーナー)に「PMは “休んでもOKです” と言っていました」と伝えて、休暇を取ってください。プロジェクトは遅れていますけど、原因は全部フロントエンドなので、バックエンドが原因での遅延は無いと考えていいです。ゆっくり休んでください。
あ、フロントエンドが立て直し中って事は知っていると思いますが、この前、コロナで入院すると言っていた Tさん、多分もう戻ってこないと思います。何か仕事以外にも活動してるみたいですし。』
という話をしながら、彼の Twitter アカウントをシェアしていました。

そこで、ある異変に気がつきました。

『あれ? アカウント名が変わってる。』

変更前の名前は憶えていないが、以前はこの名前ではなかった事は、はっきり分かる。

なぜなら、僕は音ゲーが好きで、一時期よく選択していた曲名と同じアカウント名に変わっていたからだ。

例えば、Twitterアカウント名が「奏(かなで)」という名前に変わっていて、「スキマスイッチの曲タイトルと同じ名前だ」と記憶に引っかかる事ができる、という感じ。
以前からこの名前だったとするなら、「◯◯の曲名と同じだ」と、記憶しているはずだった。

※プライバシー保護の観点のため、実際の名前とは異なる名称を使用していますが、ニュアンスはそんな感じです。

ちなみに、こんな感じで人の名前を覚えるのは結構得意です。
例えば、友人が飼っている犬の名前は「Lily」なのですが、その時は「アランウォーカーで一番好きな曲のタイトルと同じだ」という感じで、1発で覚えました。

コロナで入院している(と申告している)にもかかわらず、Twitter のアカウント名を変えている。
この名前は、彼にとって大きな意味があるのでは?

と思い、彼の SNSをチェックしてみると、いくつか変化に気が付いた。

『相互フォローじゃなくなってる』

僕も Twitter アカウントを持っているので、彼がジョインしてくる頃に彼をフォローしたらフォローバックされたのですが、そのフォローが外れていました。

直感で、彼のアカウントには色々な情報が眠っている気がしたので、手始めに彼のフォローしている人の一覧を見てみました。

『エンジニアのフォローが消えている』

面談前に Twitterアカウントを見た時、その人がどんなエンジニアと繋がりがあり、どんな事にアンテナを張っているかは興味があったので、「あ。この人フォローしてるんだ。」とか「このアカウントをキャッチアップに使ってるんだ」という事は、ある程度覚えていました。

しかし、その中でいくつか覚えていた、エンジニア界隈での有名な人が、フォローリストから外れ、ホスト系のアカウントばかりがフォローされている状態となっていました。

『何かおかしいぞ。彼に何か心境の変化があったんかな。(この時点で、もうコロナは嘘っぱちと、ほぼ確信している)』

と思い、彼の投稿内容を、注意深く見てみると、ある事に気がつきました。

彼のタイムラインには、ホストのような風貌のアカウントのリツイートが複数投稿されていました。
そのリツイート内容は、最初のうちは、それが一般的な言葉でもあるので見落としていましたが、「あるキーワード」がよく使われていました。

そこで、1つの仮説が思い浮かび上がりました。

『もしかしたら、よく出てくる「このキーワード」は、ホストクラブの名前で、リツイート元のアカウントは、そのホストクラブに在籍しているスタッフなのでは?』

どのアカウントにもホストクラブへのリンクが無かったので、あるキーワードに「ホストクラブ」という単語を追加してググってみると、そういう名前のホストクラブが歌舞伎町に存在している事が分かりました。

『ひょっとしたら、彼もここのホストクラブのスタッフとして在籍しているのでは?』
と、面白半分で、ホストクラブのスタッフリストを見ると、物凄いものを発見しました。

何と、ホストクラブのスタッフリストには、「初撮影です」というメッセージと共に、Twitter に投稿された彼の写真がアップされていました。

そして、スタッフリストに掲載されていたホストの名前は変更後の彼の Twitterアカウント名と一致していました。

ちなみに、「初撮影です」というメッセージと共にTwitter に投稿された彼の写真の投稿日時は、プロジェクト参加の1週間前だったので、プロジェクト参加前からホストクラブで働く事が決定しており、その頃には写真撮影まで終えていた証拠まで発見するというおまけ付きです。

彼が遅刻してきた時、プロダクトオーナーに『歌舞伎町から戻ってきたみたいです』とネタトークをしていたつもりが、まさか本当に歌舞伎町に行っていたとは。

あまりにも面白過ぎたので、速攻でプロダクトオーナーに、ホストクラブのリンクを添えて、こんなメッセージを送りました。

『<雑談 ☆超特ネタ☆>
100%の自信を持って、Kさんを大爆笑の渦に叩き込む事ができる、超ド級のネタをお届けします-☆』

別に人の黒歴史をほじくりかえして遊ぶ趣味は無いが、請求に関わる問題に発展する可能性は十分にあったので、証拠保全のために魚拓とキャプチャ画像を保存しておきました。

実際、彼が利用していたエージェントは、恥ずかしげもなくこれまでの稼働分を堂々と請求してきたので、僕が保全した証拠の数々は、交渉に非常に役に立つ事になりました。

ちなみに、プロダクトオーナーが、今回の件は支払いに値しない理由を証拠付きでエージェントに送付したところ、事実確認のためにエージェントから歌舞伎町に消えたエンジニアに連絡が行ったのですが、連絡が一切取れない状態になっていたので、家族にまで連絡が行ったらしいです。

エンジニアの仕事をブン投げて歌舞伎町でホストやってる事がクライアントにバレてブチ切れられている事が家族にも連絡が行くというのは、今後の家族の関係性が心配になるような出来事ですが、どう考えても 100%本人責なので、自身で何とかしてもらいたい所です。

最終的には、契約は無かった事になり、支払いも発生しない事になりました。

このエピソードは、プロダクトオーナーの会社でも瞬く間に広がって伝説となり、
「いやー。こんなにホストクラブのページを何度も見たのは初めてですよw」
と笑いながら話していました。

俺もだよ。

アクセスした事ねーよ。歌舞伎町のホストクラブのWebサイトなんて。

ちなみに、仕事で見る彼の顔と異なり、ホストクラブに写っている彼の写真は、まるで別人レベルでの加工がされていたのは内緒です。

その他のエピソード

ちなみに、この面白エピソードはスペイン在住の友人(フロントエンドエンジニア兼デザイナー)にも話しました。

友人とは週2〜3程度のペースでオンラインで話しており、その中で、現在抱えているプロジェクトのフロントエンドがカオス化している話をしてました。
プロジェクトの初期の頃は、フロント担当者の言っている事がちょっとおかしいんじゃないかという疑惑がいくつもあったので、「今のプロジェクトのフロントエンドエンジニア、こんな事言ってるけど、これって正しいの?」という話題を何度もして、技術的なアドバイスを色々ともらっていました。
(実際、当時のフロントエンド担当の主張の多くは間違ったアプローチで、最終的にはフロントは1から作り直す事になった)

そんな感じで定期的に会話をしていて、彼が入ってきた当初は、「ようやくマトモな人が来てくれたー!」と話していたら、その数日後に人に話さずにいられれないような面白エピソードを展開してくれたので、話のネタにしていました。

前回取り上げた経歴詐称疑惑のエンジニアと違い、ホストクラブのスタッフリストも、彼のホストとしてのプロフィールページも、SNSも一般公開されている情報なので、何の遠慮も無く情報のシェアができました。

あまりにも爆笑ものの出来事だったので、こんな感じの会話もしていました。

友人「今度、日本に帰ってきた時、このホストクラブ行って、会いに行こうw」

私『おっけーw 男は入店禁止だった場合、入口で解散にしようか。』

友人「え? やだ。怖い。一緒に入ろう。」

私『分かった。男性の入店がダメなら、女装の練習しとくわ』

友人「よし!日本に帰った時のスケジュールに入れとく! あ。プロフィールページに LINE の友達登録のリンクがある。帰国前に友達申請しとく。」

という感じで、スペイン在住の友人(日本人女性)が日本に帰ってきた時に、一緒にホストクラブに行くという超テンションが上がる楽しい企画を立てたのですが、現在、彼は既にスタッフリストには存在していないので、この企画は流れる事になりました。

「いやー。人生で初めてホストクラブ行くの、楽しみにしてたんだけどなー。」と非常に残念な様子でした。

スタッフリストからは彼のプロフィールは消えていますが、魚拓から辿れる LINEの友達申請へのリンクは有効だったので、友達申請だけなら、まだ間に合うかもしれません。(やらないし、魚拓を貼り付ける事もしませんが。)

ちなみに、このエントリを書くために、「そういえば、彼は元気でやってるかな」と思い GitHub アカウントを見てみると、活動している形跡があったので、無事エンジニアに復帰できたと思われます。(Twitter アカウントは削除されていました)

また会う機会があればホストクラブで働いていた時の事を是非聞いてみたいのですが、多分僕は彼にとって二度と会いたくない人間の一人だと思われるので、その機会は訪れなさそうです。

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